2026-10-10
建設の現場にいた私が、舗装の3D設計データを作るアプリを Claude に作らせている
私は会社員だったころ、公共工事の施工管理とICT施工に8年9か月携わりました。ICT施工とは、測量や重機の操作に3次元のデータを使って工事を進めるやり方です。
その仕事では、紙やPDFの2次元の図面から、工事に使う3次元の設計データを作る場面がありました。いまは、この作業をするアプリを Claude Code に作らせています。この記事は、その途中の記録です。
何を作っているか
2D図面に書いてある数値(道路の中心線の形、高さの変化、横断の形など)を入れると、J-LandXML という形式の3次元設計データを書き出すアプリです。
J-LandXML は、国の工事で3次元設計データをやり取りするための決まった形式です。毎年のように改定されていて、いまの最新は Ver.1.8 です。
最初に決めたのは、次の2つです。
- 舗装の工事を重視する(私が現場で担当してきた分野です)
- 将来は販売する
使う人として想定しているのは、舗装の工事を受けた会社の担当者で、2D図面は読めるけれど、3DのCADは得意ではない人です。
Claude と私の分担
コードは1行も書いていません。私がやっているのは、現場で使う言葉と、図面のどこを見れば何が分かるかを伝えることです。
Claude がやったのは、たとえば次のことです。
- 国の要領や J-LandXML の仕様書(PDFで133ページ)を読み、何が必要かを整理する
- 道路の中心線(直線・円・緩やかにカーブが変わる部分)、縦の勾配、横断の形から、3次元の面を計算する
- 書き出したファイルが、仕様書の巻末にある書式の定義に合っているかを機械で検査する
- 画面を作る(本物を作る前に、見本を3案出してもらって選びました)
作る途中で分かったこと
仕様書の「記入例」と「書式の定義」が食い違っていた
仕様書には、書き方の例と、機械で検査するための書式の定義の両方が載っています。この2つが、ある部分の並び順で食い違っていました。記入例どおりに書くと、書式の検査で5件の違反が出ます。Claude は書式の定義に合わせ、そう判断した理由を記録に残しました。
カーブの入口で、面がねじれる
道路がカーブに入るところでは、横断の傾きが少しずつ変わります。この区間で、計算した面と本来の形のずれが、決めた許容値(5mm)を超えました。
面を細かく区切る規則に「ねじれ」の考え方を足して、2.5m 間隔で区切ると、ずれは 4.69mm に収まりました。この区切り方の基準は、要領にも仕様書にも書かれていません。
部品の権利を先に調べた
販売するつもりなので、使う部品(ほかの人が作ったプログラム)の権利も先に調べてもらいました。使うと自分のアプリまで公開しなければならなくなる種類の部品を避け、商用で使える部品だけでそろえています。
まだできていないこと
ここは正直に書いておきます。
- 実際の重機や測量機器のソフトで、書き出したデータが読めるかを確かめていません。機器ごとに、データのどこまでを読めるかの公開表がないため、実機での確認は別の工程にしてあります
- 作ったデータが国の要領に合っていることは、アプリでは保証しません。照査(図面と合っているかの確認)と、発注者側の確認は、使う人が行います
- 書式の検査は、作っている途中では回していますが、配る予定のアプリの中ではまだ動きません
- 点群(レーザーなどで測った大量の点のデータ)を読み込む機能は、まだ見本の段階です
いま思っていること
現場の知識があっても、私ひとりでは、このアプリは作れませんでした。逆に、Claude だけでも作れなかったと思います。「どこで許容値を決めるか」「何を照査とみなすか」は、現場の側の判断だからです。
ただし、実機で読めることを確かめるまでは、使えるアプリとは言えません。そこまで進んだら、また書きます。