2026-10-10
同じ失敗を二度させないために、Claude に「手順書」を育てさせている
Claude Code に仕事を任せていて、いちばんがっかりするのは、前に一度直した失敗をまた踏まれたときです。
Claude は、会話が長くなると古い部分から忘れていきます。別の日に新しい会話を始めれば、前の会話のことは覚えていません。だから私は、失敗とその直し方を手順書として残させています。
手順書(スキル)とは
Claude Code には、「この作業をするときは、これを読んでから始めて」という手順書を置いておく仕組みがあります。スキルと呼ばれています。私のパソコンでは、1つのテーマにつき1つのフォルダで、いま42本あります。
中身は、たとえばこういうものです。
- Windows でアプリを作るときに実際に壊れた原因と対処
- ブラウザを Claude から操作して、画面を撮る・押す手順
- ブログを立ち上げて記事を投稿する手順
- 応募文や提案文を書くときに使う、私の経歴の正しいデータ
どれも、最初から書いたものではありません。失敗するたびに、1行ずつ足していったものです。
育て方
「保存して」と言ったら、3つやってもらう
作業の区切りで私が「保存して」と言うと、Claude は次の3つをやります。
- 手順書に書く。今回やったことを「次に同じ場面が来たときの手順」として、踏んだ落とし穴と確かめ方まで書く
- その案件の進行の記録を更新する。決めたこと・終わったこと・いまどこか・次に何をするか
- 変更の記録(Git)に残す
新しく作る前に、既存の手順書に足せないかを見る
最初のころは、案件ごとに新しい手順書を作っていました。すると、同じ落とし穴が別の手順書に書いてあって、こちらには書いていない、ということが起きます。
いまは、書く前に「この話は何に依存しているか」を見てもらいます。
- 道具やOS、作業の型の話(ほかの案件でも同じことが起きる)→ 大本の手順書に足す
- その案件だけの事情(その依頼主の決まりなど)→ その案件の手順書に書く
迷ったら、大本のほうに寄せます。ほかの案件で同じ失敗を繰り返すほうが、損が大きいからです。
手順書があるのに、読まれなかった
手順書を書けば終わり、ではありませんでした。
ある時期、対処法が手順書にちゃんと書いてあるのに、Claude が読まずに作業を始めて、同じ失敗を踏みました。アプリの起動の空振りが2回、文字列の中の記号が消える失敗が5回です。「知っている」と「読んだ」は別でした。
そこで、指示書(Claude が毎回読む CLAUDE.md というファイル)に「次の3つの操作の前には、手順書を必ず呼んでから手を動かす」と書きました。アプリを起動する前、記号の多い文字列を書く前、Premiere(動画編集ソフト)を外から操作する前、の3つです。
別の Claude に作業を任せるとき(サブエージェント)も、「この手順書を読んで」と名前を挙げて渡すようにしています。そうしないと、こちらが既に知っている落とし穴を、向こうがまた踏みます。
育ちすぎた手順書は、分ける
手順書が育つと、今度は長くなりすぎます。1本の手順書を呼ぶたびに全文が読み込まれ、それだけで Claude の作業の枠を大きく使ってしまうようになりました。
いまは、手順書の先頭には「目次」だけを置き、本文は別のファイルに分けています。Claude は目次で必要な節を見つけて、その節だけを読みます。42本のうち25本が、この形になっています。いちばん大きい手順書は、目次の部分が54KB、分けた本文が228KBあります。
もう1つ、手順書には「どんな場面で呼ぶか」の説明文が付いています。この説明文の一覧には全体で約2万字の上限があり、1本の説明を長くすると、ほかの手順書の説明が押し出されて名前だけになってしまいます。だから説明文は、「いつ呼ぶか」が変わったときだけ直します。
やってみて分かったこと
- 手順書は、失敗の記録から育てる。最初から立派なものを作ろうとしない
- 書いただけでは読まれない。「この操作の前に必ず読む」と、読む瞬間を決めておく
- 足す場所を間違えると、同じ失敗が別の案件で起きる。迷ったら大本に寄せる
- 育ったら分ける。全部を毎回読ませない
Claude は、会話をまたぐと前のことを忘れます。手順書は、その忘れた分を毎回取り戻すための置き場です。